溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

「今夜のパーティーで紹介するのだけが目的で、美華さんを選んだんじゃないわ」


友達だから博人を擁護して当然だろう。


「だって、美華さんを初めてここへ連れてきた数日後、うちの主人にうれしそうに報告していたもの。『たぶん美華とは運命だ』って」


(……運命?)


「お互いに人違いでお見合い相手として会ったそうね?」
「はい……」
「奇跡的な偶然が重なった出会いで〝この子だ〟って思ったそうよ」


あの日あの時間に、父親に言われてあそこへ行かなければ。
母親の願いを聞き入れずに着物を着ていなければ。
博人とは出会っていなかった。

ほんのひとつ歯車が違っていたら、誰かをここまで好きになることもなかったかもしれない。
真知子から聞かされた博人の本音に、美華の心が大きく揺れる。


「博人、今頃心配して探し回っているんじゃない?」

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