溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
もっと甘く、もっと近くに
博人と気持ちを通わせ合ってから、一ヶ月が過ぎた土曜日。
美華は鈴とホテルエステラの和菓子店、光風堂に来ていた。
「ここの和菓子、すっごくおいしいの」
鈴にも一度食べてもらいたくて、一緒にランチをとった後にやって来たのだ。
ショーケースであれもこれもとチョイスし、テーブルに色とりどりの和菓子が並ぶ。
「わぁ、どれから食べるか迷っちゃう」
菓子楊枝を手に目移りしていると、向かいの席の鈴から呆れたような空気が漂ってきた。
「幸せオーラ全開の女の人を久々に見たわ」
その目が座っているように見えるのは気のせいか。
「そんなことないよ」
謙虚に否定しつつ、本音ではその通りだと心の中で頷く。