溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
「違うんです。社長なのに若いなって。肩書から想像しただけです」
「親の七光りってやつだ。父親が会長に退いたから社長になっただけ」
博人は謙遜するが、美華にしてみたら〝社長〟が立派なのは変わらない。
「美華は二十六歳くらいか?」
いい線をついてきた。
「二十七です」
「結婚を急ぐ歳でもないのにな」
まったくその通りである。
「一年前に妹が結婚したので、親からすると二十七歳は行き遅れなんだそうです」
「それは大変だな」
理不尽な結婚観にほかならない。
大っぴらに触れ回ったら、それこそ大ブーイングされてSNSで拡散、炎上する事態になるに違いないと美華は考えている。
「それともうひとつ確認したいんですが、藤堂さんは恋人はいらっしゃらないんですか?」