溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
強引な同居生活のはじまり


翌日、美華はオフィス街にある洋食系レストランにいた。

大学時代から仲良くしている友人の(すず)との待ち合わせである。昨夜急きょ、彼女の昼休みに会う約束を取りつけていた。
言わずもがな、話題の中心は美華の結婚だ。

やはりオフィス街。店内は、スーツ姿のビジネスマンや華やいだ空気を放つOLで溢れている。
約束の時間を五分過ぎた頃、忙しない足音を響かせて鈴が到着した。


「ごめーん、お待たせー」


とろみ素材のブラウスに春にぴったりなパステルカラーのスカート。綺麗めスタイルで決めた鈴は、フランス人のクオーターで鼻の高い美女だ。

地味女を脱却して大学デビューを飾った当時、彼女のファッションやヘアメイクを大いに参考にしたものだ。

椅子に座るなり運ばれてきた水で喉を潤し、日替わりのチキンソテーの注文を済ませた。


「それで話って? 美華の新刊のお知らせ?」
「違う違う」
「それじゃなに?」


もう一度グラスを手に取り、一気に飲み干す。

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