溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

「博人さんの寝室、ですよね?」
「そ。今夜からは、ふたりの寝室だ」
「えーっ!」


脳天から声が突き抜けた。
博人は「おいおい」と言って、目を丸くして片方の耳に手をあてる。そんなに大きな声だったか。


「まだ届けは出してないとはいえ、夫婦も同然だろう?」
「夫婦も、同然……」


同じ言葉をボソボソと繰り返す。

それは……。
ぽわーんとあらぬシーンが脳内で繰り広げられる。


「つ……まり」
「つまり今、美華が頭の中で繰り広げたまんまだ」


美華に顔をぐいと近づけ、意味深な笑みで囁く。
美華はなにも返せず、ボンと音を立てたかのように顔を真っ赤にした。

(私の想像したまんま……!? ど、どうしよう!)

結婚となれば当然だが、美華の頭からはすっかり抜けていた。

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