溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

「好きな具材ならよかったです」


品数の少なさも、なんとかカバーできそうだ。


「昨夜はすみませんでした」


唐突に謝ると、博人は目をパッと見開いた。


「なんの謝罪?」
「ベッドを占領してしまったので……」


いくらキングサイズとはいえ、美華が真ん中を陣取っていたため横になろうにもなれなかっただろう。主を差し置いて態度が大きすぎる。


「大の字になって気持ちよさそうだったから、動かすのもかわいそうだと思ってね」
「大の字!?」


博人が大きく頷く。

たしかに最初に寝転んだときはそうしたが、眠りに着いた頃にはもう少し控えめではなかったか。
なんて雑な女だろうか。これまで彼氏がいなくて当然だ。


「本当にごめんなさい」
「ソファの寝心地もなかなかだったぞ。美華と一緒に寝るのは次の楽しみってことで。さて顔を洗ってくるとするか」


博人は美華の髪をくしゃっと撫で、パウダールームへ向かった。

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