百物語は終わらない
「私は林紫(はやしゆかり)。六組に最近転校してきたの」

私たちの学年は六クラスある。少子高齢化とは思えないほどの生徒数だ。見覚えのない生徒がいても不思議ではないかもしれない。

「そうなんだ。それで、紫ちゃんどうしたの?」

今度は冬子が訊ねる。紫ちゃんはにこりと笑って言った。

「私もホラーとかオカルトとか大好きなの!でも、廃墟探検はやっぱり危ないしオススメできないな」

紫ちゃんがそう言うと、「うんうん」と勇気と冬子が頷く。息ぴったりだ。

「でも、面白いことをしたいんだ」

そう私が言うと、「百物語しようよ!」と紫ちゃんは言った。

「百物語?」

出海が首を傾げる。紫ちゃんが説明してくれた。

「百物語っていうのは、日本の伝統的な怪談会のスタイルの一つのことよ。百話怪談話をすると本物の幽霊が現れるんですって!」

私の家でしない?、と紫ちゃんは微笑む。私の返事は決まっていた。

「行く〜!!」



夏休みになっていないけどやりたくなり、私は紫ちゃんの家に行くことになった。

白いTシャツにベージュパンツというラフな格好で自転車に乗る。紫ちゃんの家の住所は教えてもらっていた。
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