愛して……。
放課後になると、先輩が教室まで迎えに来てくれた。
「貴女達、名前なんて言うの?」
「あ、椿麗子です。」
「杉崎魅音です。」
「椿さんと杉崎さんね。私は黒柳美和。宜しくね。」
黒柳先輩は気さくで感じのいい人だった。
サッカー部が練習している運動場に行くと、既に練習が始まっていた。
一人一人選手の個性があって、素人の私から見ても実力があるのが分かる。
その中一際目立つ容姿をした男の部員がいた。
あんなにかっこよくて綺麗な人……初めて見た。
ドリブルのテクニックが凄い……。
「超イケメンよね、霧谷先輩。」
魅音がうっとりとした顔で話し出す。
「きりたに先輩?もしかしてあの、ドリブルが上手い人?」
「え?麗子、霧谷先輩知らないの?」
「知らないよ。」
私たちの会話を聞いていた黒柳先輩がクスッと笑った。
「椿さん、貴女結構疎いのかしら?アイツこの辺じゃあ有名なんだけど……名前は、霧谷和臣。うちのエースよ。」
あ……やっぱりエースだったんだ。
みんな上手いけどあの人だけ規格外だもん。
彼女、いるのかな。