冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
彩実は直也と麻実子がふたり揃って口ごもり、どういうことなのかと首をひねった。
「気に入らないことがあって、すぐに帰っちゃったとか……?」
「いや、それは違う。晴香は最後までちゃんといたし、相手の諒太くんとホテルの庭園でふたりきりで楽しそうだったんだけど」
直也の言葉に、彩実は眉を寄せた。
すると、うまく話せない直也を見かねた麻実子が再び口を開く。
「お見合いのときのふたりは気が合って雰囲気も良かったから、きっといいお返事をいただけると思ったんだけど、当日の晩、白石家からお断りの連絡があったの」
「え、でも、ふたりともいい感じだったんでしょう?」
不思議に思った彩実の言葉に、直也と麻実子はうなずいた。
「何故か晴香さんも断るつもりだったって言うし、未だにその理由はわからないの。ただ、会長が激怒してしまって。それ以来晴香さんとは会おうとしないしお小遣いはストップされてるし」
麻実子は直也と顔を見合わせ、首をひねる。
「いいご縁があってよかったと思ったんだけど、結婚となると、なかなかうまくいかないわね」
「母さん、なにのんびりとしたことを言ってるのよ。姉さんを猫かわいがりしているおじいさまがお小遣いをストップするほど怒るって、相当だと思うけど」
彩実は焦る様子のない麻実子と直也に呆れた。
賢一は亡くなった娘の忘れ形見である咲也と晴香を溺愛し、ふたりのために如月ハウスを大きくしたと言っても過言ではない。
だからこそ晴香には、高級ホテルグループを率いる白石家の御曹司との結婚を用意したはずだ。
いずれ賢一が亡くなった後、なに不自由ない生活が送れるよう、配慮したのだろう。
けれど先方から断られたとなると、賢一の落胆は相当なはず。
晴香も乗り気ではなかったとなれば、面目を潰され、激怒したに違いない。
「気に入らないことがあって、すぐに帰っちゃったとか……?」
「いや、それは違う。晴香は最後までちゃんといたし、相手の諒太くんとホテルの庭園でふたりきりで楽しそうだったんだけど」
直也の言葉に、彩実は眉を寄せた。
すると、うまく話せない直也を見かねた麻実子が再び口を開く。
「お見合いのときのふたりは気が合って雰囲気も良かったから、きっといいお返事をいただけると思ったんだけど、当日の晩、白石家からお断りの連絡があったの」
「え、でも、ふたりともいい感じだったんでしょう?」
不思議に思った彩実の言葉に、直也と麻実子はうなずいた。
「何故か晴香さんも断るつもりだったって言うし、未だにその理由はわからないの。ただ、会長が激怒してしまって。それ以来晴香さんとは会おうとしないしお小遣いはストップされてるし」
麻実子は直也と顔を見合わせ、首をひねる。
「いいご縁があってよかったと思ったんだけど、結婚となると、なかなかうまくいかないわね」
「母さん、なにのんびりとしたことを言ってるのよ。姉さんを猫かわいがりしているおじいさまがお小遣いをストップするほど怒るって、相当だと思うけど」
彩実は焦る様子のない麻実子と直也に呆れた。
賢一は亡くなった娘の忘れ形見である咲也と晴香を溺愛し、ふたりのために如月ハウスを大きくしたと言っても過言ではない。
だからこそ晴香には、高級ホテルグループを率いる白石家の御曹司との結婚を用意したはずだ。
いずれ賢一が亡くなった後、なに不自由ない生活が送れるよう、配慮したのだろう。
けれど先方から断られたとなると、賢一の落胆は相当なはず。
晴香も乗り気ではなかったとなれば、面目を潰され、激怒したに違いない。