冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
次に湧いてきた感情は怒りだった。

見合いのときからずっと彩実と諒太の関係がこじれているのは全部諒太の思い込みのせいだ。

たとえ諒太が結婚を決めた理由が家業のためだとしても、だからといってそれが彩実を傷つけていい理由にはならないのだ。

晴香との関係も、彩実が諒太と結婚すると決めた理由もひとりで勝手に想像して決めつけて、そして彩実を責めている。

そう、悪いのはすべて諒太だ。

彩実は越してきたばかりの慣れない家で、怒りのせいで興奮し眠れない夜を過ごした。

もちろんその晩、諒太は帰ってこなかった。



< 119 / 157 >

この作品をシェア

pagetop