冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
彩実から事情は聞いていたが、当時の生々しい音声を初めて聞いた忍もしばらくの間ショックで呆然としていたが、諒太の言葉にハッと視線を上げた。
「白石さん、もしかしてフランス語が理解できるんですか? 今聞いた男の話し方、結構特徴があって聞き取りづらかったけど、ちゃんとわかってるんですよね」
そうに違いないと確信しながら問いかけた忍に、諒太は振り返ることなく彩実を抱きしめたまま「ああ」とぞんざいに答えた。
「そうですか。だったら……」
この間のふたりの披露宴とき、遅れて来た忍と写真撮影をしていた彩実がフランス語で話していた内容も理解していたのだろうと気づいた。
モデルハウスに使うベッドの話をしていたのだが、傍らに立つ諒太の表情が次第に強張っていくのを怪訝に思っていたのだ。
まさかフランス語が理解できるとは思わずベッドの話を続けたが、もしかしたら彩実との仲を怪しんだのかもしれない。
取り乱した彩実を必死で慰めている姿を見れば、諒太が彩実を愛しているのは一目瞭然だ。
その彩実が自分以外の男性と意味深な会話をしていれば、機嫌が悪くなるのも当然だろう。
こんな状況だというのに、忍はホッとした息を吐き出した。
そのとき。
忍の隣で呆然と彩実の様子を見ていた晴香が、突然立ち上がり、我慢できないとばかりに大声をあげた。
「姉でなくお前でもいい? 彩実のほうが若くて綺麗? それに孕めばもう逃げられない? ばかじゃないのあの男。そんなことを彩実に言うなんて、許せない。最低でクズ。なにが如月家の一員になれるよ、ばーか。あーもう、腹が立つ」
叫ぶだけでは我慢できないのか、晴香はその場にしゃがみ込み、怒りをぶつけるように何度も足元のクッションをバンバンと叩いた。
「浮気してたなんて、ちっとも気づかなかった。それに、あの後よくも嘘を並べた立てて彩実を悪者にしたわね……だけど、騙された私のほうがばかなんだ……。彩実、ごめん」
晴香はソファに突っ伏し、そのまま号泣し始めた。
自分を愛していると思っていた男性は単なるクズで、如月家の一員になりたいだけの最低な奴だった。
彩実はそれに気づいて男に注意しようとして、痛い目にあわされてしまった。
もしもあのとき晴香が書斎を訪ねなければ彩実はどうなっていただろう。
「白石さん、もしかしてフランス語が理解できるんですか? 今聞いた男の話し方、結構特徴があって聞き取りづらかったけど、ちゃんとわかってるんですよね」
そうに違いないと確信しながら問いかけた忍に、諒太は振り返ることなく彩実を抱きしめたまま「ああ」とぞんざいに答えた。
「そうですか。だったら……」
この間のふたりの披露宴とき、遅れて来た忍と写真撮影をしていた彩実がフランス語で話していた内容も理解していたのだろうと気づいた。
モデルハウスに使うベッドの話をしていたのだが、傍らに立つ諒太の表情が次第に強張っていくのを怪訝に思っていたのだ。
まさかフランス語が理解できるとは思わずベッドの話を続けたが、もしかしたら彩実との仲を怪しんだのかもしれない。
取り乱した彩実を必死で慰めている姿を見れば、諒太が彩実を愛しているのは一目瞭然だ。
その彩実が自分以外の男性と意味深な会話をしていれば、機嫌が悪くなるのも当然だろう。
こんな状況だというのに、忍はホッとした息を吐き出した。
そのとき。
忍の隣で呆然と彩実の様子を見ていた晴香が、突然立ち上がり、我慢できないとばかりに大声をあげた。
「姉でなくお前でもいい? 彩実のほうが若くて綺麗? それに孕めばもう逃げられない? ばかじゃないのあの男。そんなことを彩実に言うなんて、許せない。最低でクズ。なにが如月家の一員になれるよ、ばーか。あーもう、腹が立つ」
叫ぶだけでは我慢できないのか、晴香はその場にしゃがみ込み、怒りをぶつけるように何度も足元のクッションをバンバンと叩いた。
「浮気してたなんて、ちっとも気づかなかった。それに、あの後よくも嘘を並べた立てて彩実を悪者にしたわね……だけど、騙された私のほうがばかなんだ……。彩実、ごめん」
晴香はソファに突っ伏し、そのまま号泣し始めた。
自分を愛していると思っていた男性は単なるクズで、如月家の一員になりたいだけの最低な奴だった。
彩実はそれに気づいて男に注意しようとして、痛い目にあわされてしまった。
もしもあのとき晴香が書斎を訪ねなければ彩実はどうなっていただろう。