冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
「ごめん。見合いのときに晴香さんの言葉を信じた俺が悪いんだ。如月家の娘との見合いだって当日いきなり言われたから写真もプロフィールも見ず、仕事の合間に行ったんだ。それまでにもいくつも見合いの話が持ち込まれてたけど、一度も顔を出したことはなかった。だけど、如月家の娘だと聞いて、自分でもびっくりするくらい会うのを楽しみにしながらいそいそと行ったら」
「……行ったら?」
突然口を閉ざした諒太に、彩実は首をかしげた。
「……いそいそと、他の誰でもない、彩実と会うのを楽しみにしながら行ったんだ」
「え、私? だって、お見合いの相手は姉さんだったのに」
きょとんとした表情で戸惑う彩実に、諒太は気まずそうに顔を赤らめた。
「如月家の娘って聞いてたから社長の娘だと思ってたんだ。だったらそれは彩実のことだから、そりゃ、彩実が来ると思うだろう」
「はあ……そうなのかな」
たしかに彩実は現社長の娘だが、現社長は単なるお飾りで、実際は会長の賢一と賢一の孫の咲也が会社を動かしているというのが現実だ。
だから、如月家の娘と言えば、晴香のことなのだ。
「まあ、俺が彩実に会いたいと思っていたから、その勘違いに気づくタイミングもなかったんだろうけど。とにかく、行ったら晴香さんがそこにいて、おまけに彩実から俺との見合いを譲れと言われてるだのつらい目にあわされるだの言われて。あのときの彩実はいったいなんだったんだって。かわいさ余って憎さ百倍だ。記憶の中の彩実を消してしまいたくてつらく当たってしまった……。本当に悪かった」
顔を赤らめ自分の勘違いを心から後悔している諒太がかわいくて、彩実はふふっと笑っていたが、しばらくすると、聞き逃した言葉の中に、とても大切なものがあると思いだした。
「見合い相手が私だと思って、会うのを楽しみにしていた? 記憶の中の私?」
「……行ったら?」
突然口を閉ざした諒太に、彩実は首をかしげた。
「……いそいそと、他の誰でもない、彩実と会うのを楽しみにしながら行ったんだ」
「え、私? だって、お見合いの相手は姉さんだったのに」
きょとんとした表情で戸惑う彩実に、諒太は気まずそうに顔を赤らめた。
「如月家の娘って聞いてたから社長の娘だと思ってたんだ。だったらそれは彩実のことだから、そりゃ、彩実が来ると思うだろう」
「はあ……そうなのかな」
たしかに彩実は現社長の娘だが、現社長は単なるお飾りで、実際は会長の賢一と賢一の孫の咲也が会社を動かしているというのが現実だ。
だから、如月家の娘と言えば、晴香のことなのだ。
「まあ、俺が彩実に会いたいと思っていたから、その勘違いに気づくタイミングもなかったんだろうけど。とにかく、行ったら晴香さんがそこにいて、おまけに彩実から俺との見合いを譲れと言われてるだのつらい目にあわされるだの言われて。あのときの彩実はいったいなんだったんだって。かわいさ余って憎さ百倍だ。記憶の中の彩実を消してしまいたくてつらく当たってしまった……。本当に悪かった」
顔を赤らめ自分の勘違いを心から後悔している諒太がかわいくて、彩実はふふっと笑っていたが、しばらくすると、聞き逃した言葉の中に、とても大切なものがあると思いだした。
「見合い相手が私だと思って、会うのを楽しみにしていた? 記憶の中の私?」