冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
まばたきを繰り返し、激しく打ち続ける自らの鼓動の音をひらすら聞いている。

諒太は彩実の目元に唇を這わせ、何度も「ごめん」と「好きだ」を繰り返す。

「は……ん」

諒太の手がいきなり彩実の胸の先端に触れ、体が跳ねると同時に甘い声が部屋に響いた。

思わず両手で口を覆った彩実に、諒太は動きを止めた。

「なあ、このまま彩実を孕ませてもいいか?」

「は、はらま……」

耳元を刺激する諒太の唇が、顔から首元、そしていつの間にかはだけられていた胸元に降りていく。

唇が触れる部分すべてが熱を帯び、彩実はもじもじと体を揺らした。

「でも、私、初めてで」

昨夜出かけたきり帰ってこなかった諒太には、彩実を妻として受け入れるつもりはないのだろうとあきらめていた。

「諒太さんが浮気してると思ってたし私を欲しがるなんて思ってなくて……。それに」

昨日の怒涛の展開に泣きつかれたまま寝てしまい、メイクすら落としていない。

初めて諒太に抱かれるのなら、シャワーくらい浴びて、綺麗な体で抱かれたい。

「やっぱり、今は無理」

彩実は慌ててベッドから飛び降り「ごめんなさい。とにかくシャワーを浴びてきます」と叫びなら寝室を飛び出した。

その慌てふためく様子にしばらくの間呆然としていた諒太は、次第にこみ上げてくる笑いをこらえきれず、体を震わせ思い切り笑った。

そして、すべてを脱ぎ捨てた自分が突然バスルームに入ってきて驚く彩実を想像しながら、彼女の後を追う。

その足取りは弾んでいて、彩実の記念すべき初めてを、どうやって愛そうかと、口元を緩ませバスルームへと向かった。




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