冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
忍と庄野が連れ立って飲みに行くと言っていたことを思い出し、後で連絡をしてみようと、彩実が考えていると。

「あ、忍さん……って、こちらの小関忍さんですか? あ、あの、小関家具の御曹司の小関忍さん」

期待を含んだ飯島の声に、彩実はうなずいた。

「忍君のこと、知ってますか? おっしゃる通り小関家具の御曹司ですよ。最近彼の作る家具が人気で、結構注目されてますよね」

「はい。私、小関家具の大ファンなんです。家じゅうを小関家具でそろえるために、結婚したいと思ってるくらい好きなんです。あ、すみません、ちょっと話が逸れましたね。えっと、これです。ここに小関さんのお名前があります」

飯島は彩実にタブレットを差し出し、ずらりと並んだいくつもの氏名の中から忍の名前を指さした。

「え? これって、なんですか?」

彩実はタブレットの画面をまじまじと見つめた。

そこには忍をはじめ、数えきれないほどの名前や住所、勤務先などが書かれていた。

知っている名前もあれば、まったく知らない名前がその何倍もあり、なんのリストなのだろうかと首をひねる。

すると、少し離れた場所でその様子を見ていた諒太が、口を開いた。

「それは、如月家側の招待客のリストだ。今朝、会長の秘書から送られてきた。俺もさっき確認した」

「招待客のリスト? え、こんなに早く?」

彩実は慌ててタブレットをもう一度確認した。

先頭のページには『如月家招待客リスト(仮)』と書かれていた。

「うそ……結婚しろって言われてからまだ五日くらいしか経ってないし、私、なにも聞かれてないのに……」

呆然とつぶやきながら、彩実は改めてリストに目を通していく。

如月ハウスの社員の名前なら、リストアップされていても納得できるのだが。

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