冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~
上等なシルクと繊細なレースで仕立てられたのは、試着で諒太も気に入っていたプリンセスラインの華やかなドレスで、彩実が唯一リクエストしたロングトレーンも採用され、極上の仕上がりとなった。

低い位置でまとめたシニヨンも、小ぶりだがダイヤの輝きがやたら眩しいティアラも彩実によく似合い、参列者はチャペルのバージンロードを歩く彩実の美しさに、息をのみながら見守った。

もちろん諒太もそのひとりで、父親と腕を組み祭壇の前に立つ自分のもとに向かって歩く彩実の美しさとオーラに目を奪われた。

彼のその姿も気品に溢れ、参列者の注目とため息を誘った。

そして、ステンドグラスの彩りとチャペルの荘厳な雰囲気、そしてパイプオルガンの神聖な音色に包まれながら、ふたりは将来を誓い合った。



結婚式から少しの間をおいて始まった披露宴には、国内の政財界の実力者をはじめ、スポーツ界、芸能界からも名前が知られた有名人が数多く顔をそろえた。

中でも注目されたのは、フランスからプライベートジェット機でやってきた麻実子の両親をはじめとするマリュス家御一行様だ。

その中には最近宇宙開発で大きな功績をあげた科学者や新規エネルギー関連事業で世界的に注目されている研究者、それだけでなくインフルエンサーとして一挙手一投足が話題を呼ぶ三十代の女性モデルなどもいて、ホテルの周囲に集まるマスコミの過熱ぶりは警察が出動するほどのものになってしまった。

そんな中、披露宴はスケジュール通り進み、全六回のお色直しもすでに半分を消化していた。

金屏風の前に用意された高砂に諒太と彩実は並んで座り、昨年ノーベル賞を受賞した大学教授からの温かくも長い祝辞を聴き終えたとき、ふたりのもとに三橋がそっとやってきて、膝をついた。

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