同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
「これだけは言わせて欲しいんだ。結衣の事が本当に大事だから、これから先、俺は嘘を吐いて結衣を傷付けたり泣かせたりすることはしない。これは俺が過去に犯した罪に対する十字架だから。こうして傍にいてくれる事が奇跡だと思ってる。だから……、結衣、ずっと傍にいて……」
耳元で囁く声に、私は頷く事しか出来なかった。
悠太くんの心の傷は、今も癒えていないのだ。
私はあの日、悠太くんの事を許せたけれど、悠太くんは違う。過去の過ちを十字架として背負ったまま……。
私は悠太くんの背中に腕を回した。瞬間、悠太くんの身体が跳ねた。
「もう、そんな十字架は背負わなくていいんだよ。ずっと、悠太くんの傍にいるから。
私も悠太くんもそれぞれの人生を歩んできて、過去に交友関係で何もなかったってのもおかしいと思うし、それって今更覆す事なんて出来ないでしょう。
だからもう、私も悠太くんの過去に嫉妬しないし、悠太くんもそんな風に自分を戒めるのはもうやめよう?」
今の私に言える事を精一杯、伝えたつもりだ。元々口下手だから言葉足らずな事もあるかも知れない。でも、悠太くんの枷を解いてあげたかった。きっとそれが出来るのは、私だけだから。
私の背中に回された腕の力が弱まり、私は悠太くんの腕の中からそっと身体を起こした。
そして、悠太くんの顔が私の顔に近付いて、私達はそっと唇を重ね合わせた。