同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
「お仕事お疲れ様、寒かったでしょう? どうぞ入って」

 何だか照れが入ってまともに悠太くんの姿を直視出来なくて、思わず早口でまくし立てる様に部屋の中へ招き入れた。悠太くんも、手には着替えの入った袋を持っている。『お泊りする』と言う事が、益々現実味を帯びて緊張してしまう。

 悠太くんも緊張の面持ちで中に入ると、荷物を置くとコートを脱いだので私はそれを預かるとハンガーにかけた。
 荷物もある事だし車で来たのだろう、そこまでコートの表面は冷たく感じなかった。

「車で来たんだよね? 駐車場大丈夫だった?」

 悠太くんに手を洗って貰う様に促しながら、緊張している事を悟られない様に私は口を開いた。
 このアパートは一部屋に一台分の駐車場代も家賃に含まれているので、来客があればそこに車を停めて貰う事にしている。無断駐車を予防する為にいつもはコーンを立てているけれど、今日は撤去している。
 私自身が車を運転しないから分からないけれど、悠太くんの車が大きいので、きちんと駐車場に車を停める事が出来たのか気になっていた。

「うん、大丈夫。結構ここの駐車場は間隔が広いから停めやすかった」

 洗面所から出て来た悠太くんは、スーツから普段着に着替えると言うので、私は着替えが終わる間キッチンで鍋の準備を進めた。
< 113 / 119 >

この作品をシェア

pagetop