同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
古い鉄格子の門扉を開けて、私を中に誘導する坂本に、ふと疑問が湧いた。

この鉄格子、確か施錠は南京錠だった筈。
鍵はどうしたのだろう。
いくら同窓会とは言え、鍵がないと勝手に中学校の内部になんて入れない。
港北中に、当時の担任だった山田先生がまだ赴任中なのだろうか。

それに校舎の中だって、警備保障会社のセキュリティを解除しなければ、不法侵入で通報されるのではないのだろうか。

私の疑問は、すぐに解消された。
坂本の意外な発言で。

「俺さ、教員採用試験に受かって、大学を卒業してすぐに新卒でここに赴任になったんだ。
明日が仕事始めになるんだけどこの雪だろ、勘弁して欲しいよな? この調子だと、朝一から雪掻きしなきゃ」

……坂本が、先生?
思ってもみなかった発言に、私の足は止まった。
そして、まじまじと坂本を見つめた。

坂本は私の反応をきっとある程度予測していたのだろう、驚いた様子など見せずに私の手を取ると、職員通用口へと誘導する。

私は坂本に腕を取られているので、後ろをついて行くのみだ。

軒下を通って行くので、当然の事ながらそこに雪などは積もっておらず、足跡なんて一つも見当たらない。

だから当時のクラスメイトの誰が来ているかなんて、この時点では知る由もなかった。

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