同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
坂本の後ろに黙ってついて行くと、やはり連れて来られたのは体育館裏だ。

三本目の支柱に、何かメモが貼られている。
私は、支柱からそのメモを剥がし手に取った。

『一年二組、教室の水槽』

またまた意味不明な内容だ。
不審者を見つめる様な警戒した私の眼差しに気付いた坂本は、苦笑いをしながらやっと口を開いた。

「あの日、一緒にこうやって校内散策したかったんだよ、西田と二人で。
十年前のリベンジ、付き合ってよ」

坂本の言葉は意味がわからない。
十年前のあの日って、あの大雪の日の事?
それとも卒業式の日の事?

「ねえ、ちょっと意味がわかんないんだけど……。
今日は同窓会なんでしょう? 他のみんなは何処にいるの?
何で私と坂本と二人しか居ないの?」

肝心な私の知りたい事についてはスルーする。

坂本は、私の手にしたメモを覗き込み、行くぞと声をかけると再び私の手を取って、本館の職員用通用口へと向かった。

校舎内は土足厳禁だから、そこで靴を脱ぐのだろう。
後を追いながら、私の手を引く坂本の手を見つめていた。

通用口には、坂本が使っていると思われる上履き用の靴と、どうみても学校側が来客用に用意している中学校の名前の入った安っぽいスリッパでなく、足の冷えを緩和させるフワフワもこもこの可愛らしいスリッパが用意されていた。


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