同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
カウンター越しに、あの頃みたいに図書室内を見渡した時に、突如思い出した。
あれは十一月に入ったある日、坂本は同じ生徒会役員の女子生徒に告白されていた。
ちょうど来週市内の音楽会があり、その練習の為授業はいつもより早く終わった日だ。
まだこの時期は受験勉強組も図書室にはそんなに居なくて、私もたまたま返却図書の本をそれぞれの棚に戻す作業をする為にカウンターを離れ、奥にある本棚に移動していた時、声が聞こえた。
「……か…との事が好きなの」
咄嗟の事で身体が固まってしまったけれど、これは間違いなく告白シーンだ。
耳を澄まして様子を窺っていると、相手の子は私に背を向けた状態になっているから私の存在に気が付いていない様だ。
坂本はと言うと、ちょうど本棚で死角になる場所にいるらしく、こちらからは顔が見えない。
ドキドキしながら返却図書を抱きしめて息を潜めていると……。
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、俺、好きな子がいる」
坂本の声が聞こえた。
告白した子は納得したのか、わかったと言って立ち去って行った。
坂本も少しの間、その場から動かずにじっとしていたけれど、溜め息を一つ吐いてゆっくりとその場を後にした。
私はまだその場から動けないでいた。
あれは十一月に入ったある日、坂本は同じ生徒会役員の女子生徒に告白されていた。
ちょうど来週市内の音楽会があり、その練習の為授業はいつもより早く終わった日だ。
まだこの時期は受験勉強組も図書室にはそんなに居なくて、私もたまたま返却図書の本をそれぞれの棚に戻す作業をする為にカウンターを離れ、奥にある本棚に移動していた時、声が聞こえた。
「……か…との事が好きなの」
咄嗟の事で身体が固まってしまったけれど、これは間違いなく告白シーンだ。
耳を澄まして様子を窺っていると、相手の子は私に背を向けた状態になっているから私の存在に気が付いていない様だ。
坂本はと言うと、ちょうど本棚で死角になる場所にいるらしく、こちらからは顔が見えない。
ドキドキしながら返却図書を抱きしめて息を潜めていると……。
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、俺、好きな子がいる」
坂本の声が聞こえた。
告白した子は納得したのか、わかったと言って立ち去って行った。
坂本も少しの間、その場から動かずにじっとしていたけれど、溜め息を一つ吐いてゆっくりとその場を後にした。
私はまだその場から動けないでいた。