同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
多分俺の事が許せなくて、そんな奴を視界に入れたくない、声も聞きたくないって思ってたら気分も悪くなるよな。

先生に連れられて体育館から出て行く西田の後ろ姿を見つめるしかなかった。

卒業式が終わって理由をつけて保健室を覗いたら西田は眠ってたし、多分話も出来ないと思ったから……。

眠ってる西田にあのメモを握らせたんだ。
でも意味がわからなかったよな。
あの日、西田も自転車で登校してると思ったから、駐輪場近くのあの場所で待っててって意味でメモを書いたんだけど、西田の体調はそれどころじゃなかったんだよな。

式が終わって学活が始まる前、内線で保健室から教室に電話があって、山田先生が急いで西田の荷物をまとめ出して西田のお母さんに渡したのを見たら……。

もう、会えなくなると思ったら……」

今、ここにいるのは、私が知っている坂本ではない。
あの時の後悔を、十五歳の時の後悔に囚われたまま、大人になった坂本……。

私は何も言えなくて、ただ、ただ、坂本の姿を見つめる事しか出来ない。

坂本はSDカードを抜き取ると、それを私に手渡した。
よく見ると、それはアダプターにセットされたマイクロSDカードで、アダプターを取り外せば私の使っている携帯でも画像が確認出来る。

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