罠

···日本のマンション

（『』は、日本語ではないと
　　　　　　　　　言う意味です。）


そんなボスが日本の企業に呼ばれて
日本に来日することになった時
ボスより
『サオリも一緒に行ってほしい。
そして日本のご両親に会って来なさい。』
と、言われた。

ボスは、私が渡米してから
一度も日本に帰国していないことを
知っていて、ずっと気にしてくれていた。
『ありがとうございます。
　　そのようにさせて頂きます。』
と、言って社長室を後にした。

はぁ、あれから三年
一度も日本に戻る事はなかった。

絢ちゃん（おば）に
説得されてアメリカに渡って
一年たった頃に母に連絡をして
簡単に成り行きを説明して
マンションの解約と引っ越しを
お願いした。

もったいない気持ちもあったが
マンションの物は全て廃棄
してもらう事にした。

あれと、これは、捨てないでとか
母に頼むのも申し訳なかったし
引っ越しだけでも、
面倒かけさせてしまうのだから。

こちらでは、絢ちゃんと暮らしているから
何も不自由はしていないし
私の部屋には、少しずつ
私のお気に入りの物が
増えてきていた。
「誰も住んでいないのに
　　家賃払って居る方が
　　　もったいないわよ。」
と、絢ちゃんに叱られたのだ。

母は、
「本当に全部捨てていいの？
お母さんの手間を省く為に
言っているんじゃないの？」
と、娘をよくわかってるが
「お母さん、ごめんね。
手間かけて、でももう本当に
いらないの。
だから、宜しくお願いします。
管理会社には、連絡も終わらせているし
書類のやり取りも終わっているから。」
「そう？沙織がそういうなら。
近い内に、帰ってくるの？
お父さんも心配しているの。」
「うん、大丈夫。
宜しくお願いします。
しばらくは、帰らない
というか、帰っている余裕なくて
ごめんなさい。
お父さんにも、宜しく伝えて
お父さんもお母さんも
体には、くれぐれも気をつけてね。」
と、話して電話をきった。

それから、数日後には
マンションの退去は終わりました。
と、連絡が母からきた。