···また?裏切られる


沙織と交代して通訳を行っている
亜美は、沙織ほどの仕事は
出来ないが、必死にやっているように
見える。

アンソニーもメイソンも
ちょこちょこ動き回る
亜美を面白がっていた。

メイソンは、
沙織を心配しながら
亜美の事も気にかけていた。

妻と同じ日本人だからか
そんな亜美もメイソンを
頼りにしていた。

アンソニーは、
そんなメイソンに
過剰に亜美に関わらないように
何度か伝えていたが・・・

ある日、通訳の言葉違いで
クライアントから指摘を受け
涙を流す亜美に
メイソンは、可哀想になり
抱き締めてしまった。

その姿を、たまたまボスに
呼ばれてきた沙織に見られてしまった。

沙織は、その日
絢の元に帰った。

沙織としては、
まだ、結婚して2年程で
こんな事になるのかと
あんなに愛していると
言ってくれた夫に
ショックが隠せなかった。

妊娠をしていて不安定な所も
あったが・・・
亜美が抱きついているだけなら
まだ、良かったが
メイソンが亜美の身体に腕を回して
沙織より小さな亜美の頭に顔を
おいている姿は、
亜美を大切に思っているとしか
考えられなかった。

沙織は、絢に全てを話して
自分は、ずっと想われる事が、
出来ない人間なのだと嘆いた。
それが、何故なのか
沙織は、本当にわからなかった。

そんな姪を見て
絢は、腹立たしかった。

沙織の日本での出来事に
心痛めて私の元にきた事を
メイソンは、知っていて
そんな事をするなんて!!と。

それに妊娠しているのに
不安定では、母体にも良くないと
思いしばらく日本に帰したほうが
と思い産婦人科の先生と
話すことにした。

アンソニーには、
直接、絢から連絡をいれて
落ち着くまで休ませて欲しいと
お願いした。

もし、急ぎの撮影があるなら
庭を使ってかまわないと
譲歩するとアンソニーは、
お詫びをしながら
沙織の事をお願いした。
< 29 / 71 >

この作品をシェア

pagetop