罠
···裏切り
女性は・・・・
早坂 美里(はやさか みさと)さん。
29才
私の恋人であると思っていた
大我 和彰(おおが かずき)29才と
先日行われた同窓会(高校)で
再会して
皆で楽しく飲み
飲みすぎてしまい
朝を迎えたらしい。
朝、目が覚めると
横に和彰が寝ていて
驚いたと同時に
実は嬉しかった・・と。
顔を赤らめながら話す彼女を
どこか他人事のように
聞いていた私・・・・
だが彼女は、
なぜか和彰が目を覚ます前に
ホテルを後にしたらしい。
「あの日から三ヶ月を過ぎ
体調が悪く病院に行くと
妊娠していることが
わかりました。」
と、言って
母子手帳を見せてくれた。
中には、病院の印鑑や
先生の診察の所見が
書かれていて
エコー写真も貼られていた。
それでも、和彰の子供だと
言う証明にはなりませんよねと
彼女に伝えると・・・
美里さんは、
「本当はここまで
したくなかったのですが。」
と、言って
美里さんが和彰に腕枕をされて
眠る二人の写真を見せた。
「合成では?」
と、言う私に
携帯で録音された音声も聞かせた。
確かに、その声は和彰の声で
「みさとっ、みさとっ」
「ア‥‥アン‥‥かず‥‥きっ」
と、言う声も入っていた。
「もう。やめて下さい。!!」
と、言うと
「本当に、すみません。
ここまでしたくなかったのです。」
と、言い。
「私は、この子を産みたいと
思っています。
ですが、和彰には告げるつもりは
ありません。」
と、きっぱりと言ってから
「和彰は、近い内に
あなたにプロポーズをすると
同窓会の時、皆に話してました。
あんな幸せそうな和彰の顔を
私は忘れる事はできません。
だから、私はあの日
ホテルを一人先に出ました。
この人は、恋人がいるのに
平気で私を抱いたのだから·····と。
だからと嫌がらせで
新倉さんにお話に来た訳では
ありません。
ただ、同じ女として
男は、浮気をするものだと
知って頂きたかっただけです。
失礼します。」
と、言って席を立った。
私は、その場で
涙が止まらず
立ち上がる事ができなかった。