···日本へ帰ろう


産婦人科の先生からは
『母体が不安定だから
日本への帰国は見送って下さい。』
と、言われた為
絢は、学校長の知人宅に
沙織を預けた。

少し距離は、あるが
何も考えて欲しくなかった。

沙織は、体重も減り
泣いて過ごす事が
多くなっていたから
そうする事に決めて
アンソニーにも話した。

アンソニーの嫁(エレナ)は、
沙織を心配して
時々、沙織の元に
通ってくれた。

あの日から二ヶ月が過ぎ
沙織のお腹は、六ヶ月に入った。

やっと沙織は、落ち着いてきて
絢の学校の学校長の知人の
お宅でゆったりと過ごしていた。

たまに、ご近所の子供達に
日本語を教えたり
アンソニーからの撮影の依頼を受けたり
撮影は、信頼出来るスタッフだけが
慎重に招かれた。

病院は、まだひと月に一度だから
絢が迎えに来て連れて行く。

沙織は、絢には
感謝の気持ちしかない。

日本の両親には、心配かけたくなくて
何も話してない。
赤ちゃんの順調ぶりだけを
知らせていた。

まだ、メイソンの事を考えると
辛いが、メイソンの事は
もう、あきらめるようにした・・

自分と赤ちゃんの今後の
事だけを考えるように。

日本の両親の元に帰ろう・・・・

絢とも話してから正式に決めようと
思っていた。
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