罠

···また、帰るの？

蒼空は、目を覚ますと
メイソンがいて
ママは？と思ったが
メイソンがニヤリと笑ったのを見て
『パパ、おはよう。』
『おはよう、ソラ
ママ、恋しくなった？』
と、メイソンが言うと
『うん、ずっとママと一緒だったから
でも、パパがいて、嬉しい。』
『ありがとう。ママが
ソラがきっと喜ぶからって
言ってくれたんだ。』
と、言うと蒼空は嬉しそうにしていた。

蒼空と二人でリビングに行くと
沙織が朝食の準備をしていた。
それを三人で食べた。

背の高いメイソンに
僕もパパみたいになる？と、蒼空
モデルの仕事楽しい？と、メイソン
二人は色々な話しをしていた。

五年も六年も離れていたのが
わからないくらい
溶け込んでいる。

それから、三人は、着替えをして
蒼空の入る小学校に行く。

蒼空は、沙織とメイソンと別れて
自分の教室へ
メイソンと沙織は
体育館へと行った。
『大丈夫かな？』
と、心配するメイソンに
沙織は、可笑しくなり
笑っていた。

＊＊＊＊　新入生入場　＊＊＊＊

アナウンスで
次々に、可愛い一年生が入ってくる
メイソンも沙織も携帯で写真を
沢山撮った。

蒼空は、私達の前にくると
手を振って前へと進む。

校長先生の前で担任の先生から
名前を呼ばれて
元気に「はい」と返事をして
立つ蒼空をメイソンは
涙を流しながら見つめていた。

自分のバカな行動で
蒼空の可愛い姿をみれなかった
それが辛かった。

沙織は、メイソンにハンカチを
渡してメイソンの手を握った。

蒼空の教室に入ると
メイソンを見て
父兄も生徒もザワザワする
身長が190センチある
外国人でイケメンだから

誰のお父さん？
かっこいい
素敵
イケメン
色々の声が聞こえる

蒼空は、嬉しそうにしている
メイソンは、日本の学校が
珍しいみたいで
キョロキョロしていた。

そんなメイソンを見て
ｸｽｸｽっ笑っていると
メイソンが沙織の頬にチュッと
キスをして、沙織は真っ赤に
『メイソン、外で日本だよ。』
『ダメなの？』
と、言うから、また可笑しくなった。

先生の話が終わり
沙織とメイソンは、
担任の先生に
蒼空の父親で海外にいる事を伝えた。

シングルマザーになっているので
話していた方が良いと思い

みんなは、メイソンが蒼空の父親
だと、わかって

やはり・・・
通りで、蒼空もイケメンだと
騒いでいた。

その日は、お祝いに
三人で外食をして
マンションに帰った。

『パパは、また、帰るの？』
と、蒼空。
『明日は、
おじいちゃん、おばあちゃんに
会ってお話したいんだ。
そして、次の日に
帰る予定だよ。』
と、言うメイソンに
『両親にあうの？』
『うん、きちんと謝罪してないから。』
『わかった。連絡しとくね。』
『ああ、お願い。』
と、話していると
蒼空は、やはり帰るんだと
悲しかった。

そんな蒼空を見て沙織は
たまらない気持ちになるが
『ソラ、パパは今イタリアにいるんだ。
パパに仕事を任せてくれた
人がいてね。
その人の気持ちに応えたいと
毎日頑張っているんだ。
沢山のモデルさんがいるんだよ。
パパと離れているときは
ソラが、ママをパパの変わりに
守って欲しい。
パパは、近くにいなくても
ソラとママを愛しているし
いつも、想っている
大好きで大事な二人だから。』
と、蒼空を抱き締めて伝えた。

蒼空は、それでも
寂しいと泣いていたが
『僕もパパが大好きだよ。
ママは、僕がちゃんと守るから
パパも、また、会いにきて。』
『もちろん。会いにくるよ』
と、二人は抱き締めあっていた。

そんな二人を
沙織も涙を流しながら
みつめていた。