···手紙


翌朝、マンションに戻ると
やはり、和彰が来た痕跡があった。

和彰が使ったマグカップが
流しにあるのをみて
ホッとした自分がいた。

それから、マグカップを洗い
和彰の荷物を近くのコンビニから送り、
鍵の業者が来るのを
待ちながら
自分の荷造りをした。

必要な物だけを持って行く
二、三ヶ月したら
一度帰ってきて
このマンションを引き払うと
考えていた。

準備が出来た時に
業者がきて鍵の付け替えも
完了した。
スペアキーを管理会社に渡して
空港内のホテルへと移動した。

明日の朝、日本を出る。

私は、ホテルの部屋で
専務宛に手紙を書いた。

尊敬する専務に
仕事を放棄してしまった事を
どうしても、そのままに
できなかったから
全てを正直に書いた。
ただ、どこに居るのか以外・・・・


書きながら・・ふと・・

和彰は、同窓会で
美里さんに再会して
好きだった気持ちが再燃したのだろうか?

そうではなく、
私と付き合いながら
美里さんにも気持ちが
あったのだろうか?

どうして避妊をしなかったのだろう?
私には、毎回きちんとしていた
美里さんに本気だから
子供ができても良いと
思っていたのだろうか?

一人で考えても
何も答えは出せず
苦しくなるばかり
涙が流れる顔を洗い
夕食を食べに行き
専務宛の郵便をフロントに頼んで
出してもらった。

夕食を食べ
何も考えずに
ベッドに入り
眠りにつく事にした。
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