隠れイケメンの王子様に恋しました
そんな様子を興味深く見ていた兄貴はとんでもない事を言い出す。

「あの彼女はどう思ってるかな?大宮より御影でいた方が彼女のためにもいいんじゃないか?」

「はあ?」

怪訝な顔の俺に薄目でニヤリと笑う兄貴は何を考えているのか
なの葉を呼びつけたときもなぜそんな事をしたのか結局教えてはくれなかった。

「御影になって本社に来た方が給料も上がるし結婚した時には十分に養うことが出来る。工場の今の給料じゃ少ないだろ?」

「けっ…結婚!?」

まさかそんな事言われるとは思ってなくて声が裏返ってしまった。
考えてなかった訳じゃないけど…まだまだ一人前とは言えない今はなの葉の人生をもらう事は出来ないと思っていた。

「な、何でそんな事…」

「考えてなかったか?」

「いや、考えてはいたけど…。いいのか?」

頑なに御影になりたくない理由の一つに自分の人生を決められてしまうのでは?という懸念もある。
仕事もそうだが結婚も、政略的に相手を決められてしまうのではと思っていた。
現に兄貴は2年前に提携先の恵庭重機の社長令嬢と婚約をしている。

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