隠れイケメンの王子様に恋しました
「え゛…?」

「でも御影の名前があったからおいそれと近づけなかったというのもあったかも?品行方正な子が多かったよ」

俺が気にしすぎなのか兄貴が気にしなさすぎなのか?
御影の名はここでも大きく影響しているのか?
兄貴の通った学校は名門私立、俺は国立の一般校。その違いもあったかもしれない。

……

気にしなきゃいいのかも知れない。
皆大人なのだから安易に近づく奴はいないだろうし、視線さえ気にしなきゃ…

「あ、あの御影部長」

「…何か?」

さっきすれ違ったどっかの女性社員。
顔を赤らめもじもじしてるのからしてイラっとする。

「あのっ前髪が少し乱れてます」

「あ?ああ」

さっき兄貴の前でつい髪をかき乱してそのままだった。
手櫛でさっと直したつもりで「じゃ」と立ち去ろうとするとガシッと腕を捕まれた。

「あの!まだ乱れてるんで私が直してあげますっ!だからこっちに…」

「俺に、触るな!」

「ひっ…」

何処かに連れ込もうとしたのか腕を引っ張られさすがにプチンと切れた。
低い声で唸るように言うと恐れ戦いた女性は逃げていく。
それを見ていた輩が遠巻きにこちらを見ていた。

「ちっ」

やっぱりああいう視線はいつまでも慣れない。
髪をくしゃくしゃと乱してその場を去った。
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