隠れイケメンの王子様に恋しました
駅に着くと出入り口の端っこでキョロキョロと辺りを見回すなの葉を見つけた。
きっと立花さんの車を探しているのだろう。
ちょうど俯きスマホを確認してるところに声をかけた。

「なの葉」

「あっ雪都!びっくりした!どうしたの髪の毛、大宮さんバージョンになってる」

なの葉は俺が髪を上げてる時は御影さんバージョン、ボサボサにしてる時は大宮さんバージョンと言う。
今の俺は髪の毛はもう帰るからとボサボサのまま。
メガネは掛けてないけどいつもの姿になの葉はニコニコと見てくる。

「その髪型にスーツ姿ってなんか新鮮」

「そお?」

なの葉は俺がどんな姿でも好きだと言ってくれる。
今も頬が赤くなってスーツの裾を掴んで上目遣いときて堪んない。
つい肩を抱いて耳元で囁いた。

「そんな顔したらキスしたくなるだろ」

「だっ!ダメだから!」

ビクッと肩をすくめますます赤くなる頬で睨まれ離れようとする。

「なんだよ引っ付き虫のくせに」

「むう~~外ではダメなの!」

恥ずかしがりながら頬を膨らませプンプン怒ってるけど可愛いだけ。
冗談だとクツクツ笑って言うとプイッとそっぽを向かれた。

周りを見れば往来の多い駅前の端っこでいちゃついてる俺達の事など気にも留めず人は通りすぎて行く。
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