隠れイケメンの王子様に恋しました

「…そういえば立花さんは?雪都電車で帰って来たの?」

周りを見渡し立花さんが居ないのを不思議に思って見上げてきたなの葉にニヤリと笑って手を繋ぎ歩き出した。

「こっち」

向かった先には御影自動車きっての人気スポーツカー、ハイグレードエヴァンが停まっている。
フルエアロに重厚感のある限定色のダークパープルが存在感を醸し出していた。
近くに寄れば自動的にロック解除され助手席のドアを開けてなの葉をエスコートする。

「え?え?どうしたのこの車!雪都車買ったの?」

目を丸くするなの葉に得意気な顔をするけども、まあ、買ったわけではない。

「兄貴に借りたんだ。当分返さなくてもいいからこれで今度ドライブしよう」

「わあ!すごい!」

なの葉を助手席に乗せ運転席に乗り込むと興味津々で車内を見回してる。

「やっぱり高級スポーツカーだけあって内装も高級感あってかっこいいね!」

「だな」

しきりに感動してるなの葉にこの車にして良かったとほくそ笑むけども、俺の車ではないのがちょっと残念。

今日帰り際に兄貴にダメ元で言ってみたお願いを、聞いてくれるとは思わなかった。


………
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