隠れイケメンの王子様に恋しました
「土谷…」

外へ出て肩を抱かれどこへ行くのかもわからないなの葉はされるがまま。
そこへ目の前に現れたスーツ姿の超絶イケメンのお兄さんがなの葉の腕を掴んだ。

「あんた誰?」

怪訝な男の子は超絶イケメンの男に気後れして額に汗が浮き出る。
目をとろんとさせて上を向いたなの葉はふにゃりと笑った。

「おにいさん…だ…モガモガ…」

「お兄さんっ!?」

だあれ?となの葉が言うのを大きな手で阻止したイケメンに男の子は驚愕して叫んだ。

「ああ、土谷なの葉の兄だがあんたは?」

よろよろするなの葉を男の子から奪い脇に抱え毅然とした男の態度に男の子の額の汗がたらりと流れた。

「あ、いえ、みんなで飲んでてなの葉ちゃん酔ったみたいで送ってあげようと…」

「チッ」

そこまで言うと舌打ちが聞こえビクッと男の子は縮み上がる。

「それはありがとう。だがなの葉は兄である、お・れ・が!送るから君はもう帰りたまえ」

「はっはいっ!」

じろりとイケメンお兄さんに睨まれ男の子は一目散に帰って行った。

ため息をつきなの葉を見ると頬を赤く染めてのほほんと去ってく男の子を見送っている。

「ったく、何してんだお前は」

「え~とぉ~」

なにしてんだろ~なんてとぼけたことを言ってるなの葉にまたため息をついて近くにいたタクシーに押し込んでお兄さんも乗り込んだ。
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