隠れイケメンの王子様に恋しました
家に着けばなの葉が夜ご飯の用意をしてくれた。
俺も少し手伝って出来た夕食は手が混んでる訳じゃないけど家庭的で美味しい。
今日あったことを話ながら楽しく時間は過ぎていく。



ふと、兄貴に言われた事を思い出す。

「結婚…かぁ…」

「ん?なんか言った?」

二人で並んで洗い物をしてるときにぼそっと言った言葉は水の流れる音でなの葉には聞こえなかったらしい。
こちらを見てくるなの葉に首を横に振った。

「いや、何でもない。…あ~あのさ、もし、俺が御影の籍に戻って本社に行くことになったらどう思う?」

「え!?本社行っちゃうの?」

洗い物を終え水を止めたなの葉が勢いよくこちらを振り向く。
その顔は困惑してるようで聞いたことを直ぐに後悔した。

「いや、違う!例えばの話だよ。たまに行くことはあっても完全に移籍とかはないから!」

慌てて繕ってみるも浮かない顔のなの葉に不安になってくる。

「なの葉……?」

「……ううん、あり得る話だよね。今日朋絵にも言われたんだ…」

しゅんと俯くなの葉。

益川め。
余計な事を言いやがったな?
ついつい心の中で舌打ちをした。
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