隠れイケメンの王子様に恋しました
益川朋絵はなの葉の同期で高校からの親友。
唯一俺の素性を知ってる奴だ。
なの葉の事を大事に想って守る事に関しては意気投合してるが、如何せん一言二言口が多い。
ズバズバと歯に衣着せずに言うもんだから余計に質が悪い。
余計な事を言ってなの葉を不安にさせるな!
まったく…。

「ほんとに例え話だから気にすんなって!」

「でも、雪都が御影家の人というのは変わらないし、いずれは本社に行くのでしょう?工場から居なくなるのは寂しいけど…、それは雪都の決めることだから、私の意見を聞く必要は無いんだよ?」

「工場辞めるなんてしないし!前にも言っただろ?高岡さんの技術を修得するまでは辞められないって!」

寂しげに見上げてくるなの葉になんだか焦燥感が沸く。
益川は一体なの葉に何を吹き込んだんだ?

「うん…そうだよね。今すぐって訳でもないよね…。私は雪都が決めた事なら何でも賛成だから!…お風呂入れて来るね」

にこりと笑いなの葉はお風呂に行ってしまったが、無理して笑ってるみたいでなんだか胸が締め付けられる。

どうしてこんな事になったんだ?

兄貴から本社に来いとは言われたけど高岡さんの技術を修得するまでは辞められないって言った俺の気持ちは変わらない。

だけど、今は大宮でも俺は御影家の息子で、御影に戻れと言われてるのは事実。

そんな事なの葉には言ってないけど…、

不安にさせてるのは俺か…?
< 112 / 124 >

この作品をシェア

pagetop