隠れイケメンの王子様に恋しました
「っ…えっと…」

何を話したのか聞いただけなのに、また言葉に詰まって目を泳がすなの葉にますます何を吹き込まれたのか気になる。

「ねえ、教えて」

「う…ん、雪都はいつか御影さんになってしまったら大企業の御曹司と工場の一般事務員じゃ釣り合わないし、きっと何処かのお嬢様と結婚させられるから今から覚悟しときなさいって…」

「そんなデタラメ…」

いつの時代の話だ?呆れてしまう。
確かに兄貴はそんな事になってるけど…。

「…それと………」

「…なの葉、ちゃんと全部言って!不安も心配も全部消してやるから」

更に言い淀むから真剣になの葉に訴えた。
不安なままにさせられない。
観念したのかなの葉はうんと頷いて言いずらそうに言った。

「雪都が本社に行ったらずっと御影さんバージョンなんでしょう?そしたら…絶対雪都はモテるから、綺麗な人がいっぱい寄ってくるだろうって…。その…たまにはご奉仕しないと飽きられて捨てられちゃうかも…って言われて…」

「…え?……だから今日あんな事を?」

身分差からどうしてそんな話になる?
不思議な女子の会話に付いていけない。
コクりと頷くなの葉に呆れて、でもその不安の原因はやっぱり俺にあるわけで…。

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