隠れイケメンの王子様に恋しました
その日は1日ブルーで俯き気味で帰り支度をする。
昼間もう一回事務室で休憩する大宮さんと目が合った気がしたけどやっぱり逸らされて、ガーンと頭を殴られたように落ち込んだ。

この間送ってもらったからって工場内では必要以上に関わってはいなかった。
あまり近づくと周りの女子からあらぬ噂を立てられ兼ねないから大宮さんに迷惑かけたくないし…。
これは朋絵の助言だ。
でも今日の大宮さんの態度を見た朋絵はなの葉の肩に手を置いて「諦めな」と一言残し合コンの為に早々に帰って行った。

私やっぱり何かしたのかな?
気安く挨拶したのが悪かったの?
ついつい見つめちゃってうざかったとか?

「うう~わかんないや…」

外に出てポツリと呟く。
恋って苦しいね…。


「土谷」

後ろから声を掛けられ咄嗟に振り向くとそこには大宮さんが作業服のまま立っていた。

「お、大宮さん…」

ずっと大宮さんの事を想ってたから幻でも見てるのかと目をパチクリさせる。

「ちょっとこっち」

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