隠れイケメンの王子様に恋しました
勤務時間も過ぎた頃、一人残業していたなの葉。
事務室の戸がガラリと開き工場勤務のその男、大宮雪都が入ってきた。
「あ!お疲れ様です」
「……まだいたの?」
「あ、はい。少し残業を…」
「ふーん」
「大宮さんも残業ですか?」
「まあね」
座ってる椅子から伝票をフリフリし苦笑いを向けるなの葉に興味無さそうに返事をして目の前を通り過ぎる大宮さん。
事務室はソファーがあって休憩室も兼ねている。
背の高い彼はどかっと長椅子に座ると長い脚を組み持っていた缶コーヒーを開けて飲んでいた。
「残業なんて珍しいな」
「えっ?あ、はい。少し伝票が溜まってまして…」
本当は合コンに行く同期の親友、益川朋絵に頼まれて仕方なくの残業。
「ごめん!なの葉!今度残業代わるから!お願い!」
手を合わせ朋絵に頼みこまれて渋々だったけどでも大宮さんと思わず二人きり。
内心ドキドキでコーヒーを飲む大宮さんをチラチラ横目で見ながら伝票入力をしていた。