隠れイケメンの王子様に恋しました
ドアを閉めてホッと胸を撫で下ろす暇もなく、なの葉は連行されて気付けば給湯室の中。

「ちょっとちょっと!なの葉ちゃんどうだった?」
「何か話しかけられた?」
「二人兄弟だって?似てたわね」
「近くで見れるなんてうらやましい!」

先輩達に矢継ぎ早に質問されてなの葉はお盆を盾に口ごもる。

「う、うう…」

「教えてよなの葉ちゃん!」

「う…話しかけられてませんし、ずっと下向いてたので、わ、わかりません!」

一気にそう言うと先輩達は目を見合わし、なーんだつまんないと、気を削がれてバラバラと散っていく。

「あーあ疲れ果てちゃって。お疲れ。あたしも質問攻めにあったよ」

すごすごと自分のデスクに戻ると朋絵が苦笑いで労ってくれる。
朋絵にもどうだった?と聞かれても首を振るだけ。
副社長達が帰るときも話しかけられるわけもなく、ただただ帰って行く御影部長を見送るばかりだった。

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