隠れイケメンの王子様に恋しました
「いつ終わる?」

「え…え?」

「仕事、いつ終わるのか聞いてる」

「あ、あの、これ入力したら終わるのでもう少しいしたら…」

無意識に鼻をクンクンさせていたら声を掛けられ我に返って、大宮さんの意図が分からずに後10枚程度の伝票を指して言う。

「俺ももう少しで帰る、終わったら声かけて。夜遅いから送る」

「えっ?い、いえいえ、まだそんな遅くないですよまだ電車もありますから一人で帰れます!」

慌ててそんな滅相もないと首を振るとそんな私の頭に大きな手が乗る。

「ここら辺は街灯も少なくて危ない。女子一人で夜道を歩かせるわけにはいかないだろ。大人しく言うこと聞け」

「は、はい…」

「よし」

乗せてた手をぽんと弾ませ大宮さんは事務室を出て行った。
そんな後姿を見送ったなの葉は顔が真っ赤で手が乗せられていた頭を抑えた。

「なに…なに?今の??」

きーっ!と叫びだしそうなのを何とか抑え冷静を装って机に向き直る。
頭を触れられただけで舞い上がってる。

私やっぱり気になるどころか大宮さんの事、好きみたい…。
しかも送ってくれるだなんて!!!

くぅ~~~!っと顔を覆い足をばたつかせて喜びに浸った。

恋なんて高校の時以来だ。
忘れかけてたときめきが爆発しそうでなかなかドキドキが収まらなかった。


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