隠れイケメンの王子様に恋しました
そこまでは言えずに口ごもると、目を見開いてじっと見ていた御影さんはその目を伏せふうっとため息をついた。
そんな姿も艶めいていてつい見とれてしまう。

「誕生日だって言ったのは自分じゃないか。覚えてないのか?」

「えっ!私自分で誕生日だって言ったんですか?」

タクシーでの会話はすっかり抜け落ちていたなの葉は自分で言ったのも気付いてなかった。

恥ずかしい!自分で誕生日だって言ってキスを強請ったのだろうか?

どういう経緯でキスされたのか曖昧で一気に顔が熱くなって頬を抑える。
そんななの葉を見て眉根を寄せる御影さん。

「やっぱり覚えてないのか?あの日の事。どっかの男にお持ち帰りされそうになってたけど」

「ええっ!?お持ち帰りっ!?」

あの日合コンで会った男の子の顔なんて一人も覚えていないし、そんなことも全く覚えていない。
知らない人にお持ち帰りされそうになってたなんて初めて知った。

「お前、酔っぱらうと誰彼かまわずついて行くのか?」

「そ、そんなことある訳ないじゃないですか!あの日…初めてお酒飲んで初めて酔ったんですから…」

自分の酔った姿を自分で見られるわけもなく、まさかの事態に今度は青ざめる。

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