隠れイケメンの王子様に恋しました
「ふーん、じゃあ、なんで俺には付いて来たの?」

「えっ!?」

ほんとは付いて来たのではなく連れてかれた、が正しいはずだけど御影さんはにやりと笑いなの葉の様子を窺う。

「あの、それは…」

酔ってたとはいえ警戒心もなく初めて会った御影さんを受け入れていた自分に今更ながら不思議に思う。
じっと御影さんの顔を見つめ考えた。

弧を描く口元、筋の通った高い鼻、切れ長の目、きりっとした眉、長めの前髪を横に流しその端正な顔が誰かに似てる気がして…。

「似てるんです…、私の…知ってる人に…」

「…へえ、それは誰?」

じっと見つめてくる瞳に自分の姿が映り込み、よく見ようと前のめりになる。
爽やかな香りがふわっとかおる。

「それは…」

じっと見つめ何かを思い出そうとしたその時、キッと車が止まった。

「着きました」

ひと言そう言った立花さん。
ハッとして気付いたら間近に御影さんの顔があって慌てて身を引いた。
外を見れば見慣れたなの葉のアパートの前。

何してたんだろ私…。

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