隠れイケメンの王子様に恋しました
「恋する乙女は強いねえ~」

にやけるなの葉をよしよしと撫でる朋絵。
何かあったらあたしに相談しな!と頼れるお姉さんを発揮してくれる。

「うん、ありがと!朋絵大好き!」

事務所に戻る廊下で抱き着いてキャッキャと騒いでいると大宮さんが通りかかって、ドキリと胸が跳ねて足が止まる。

「…あ、じゃあ、あたし先行ってるね」

なの葉にそう言って通り過ぎる時ににやりと大宮さんを見て「ごゆっくり~」なんて言って行ってしまった朋絵。

「…あ、お疲れ様です」

「お疲れ」

あれから初めての顔合わせにドキドキしてどうしていいかわからない。
挨拶だけして俯いていると声がかかった。

「今日…」

ふっと顔を上げると拳を口元に当てて顔を明後日の方に向いていた大宮さんが目だけをこちらに向ける。

「早く終わりそうだから…一緒に、帰るか?」

「えっ…」

ビックリして目を丸くしたあと嬉しくなって元気に返事をした。

「はい!」

それを聞いて口元を緩めた大宮さん。

「じゃ、後で」

そう言ってなの葉の頭をポンと触って行ってしまった。

うう~~~!

うれしい!!!

有頂天になって叫び出したい気分だ!
ウキウキとスキップしそうな勢いで事務所に戻っていった。

にこにこのなの葉は朋絵にからかわれながらもその後の仕事が捗る捗る…。
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