隠れイケメンの王子様に恋しました
「大丈夫だ!絶対事故んないし、ちゃんと安全に送り届けるから!」

ヘルメットを脱ごうとする私を止めて間近で真っ直ぐ見つめられてドキッとして手が止まった。
大宮さんの顔は目と鼻の先。
ヘルメットが無かったら私どうなってただろう…。

「は…はい」

「よし、じゃあ後ろ乗って」

大人しく言うことを聞くと満足したようにまた笑ってバイクに跨りエンジンを掛けた大宮さんを呆けたように見つめ、後ろにおずおずと乗った。

「あの…」

乗ったはいいがその後どうしたら…と思っていると体を捻り私の手首を掴んだ大宮さんにまた心臓が暴れ出す。

「足はそこに掛けて。ほら、ちゃんと俺につかまって」

反対の手も掴まれ大宮さんの腰に巻き付ける。
一瞬私の手の上に大きな手が乗った気がした。

「しっかり俺に掴まって。大丈夫だから」

「はい…」

ドキドキが大宮さんに伝わってしまうんじゃないかと一瞬戸惑ったけど、背中に体を預け腕に力を込めた。
背中の温かさが伝わる。

「よし、行くぞ」

ブルルンとバイクの重低音が響き颯爽とバイクは走り出した。


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