隠れイケメンの王子様に恋しました
「嬉しかった…。でも、やっぱりそうやって悲しそうな顔をする。何故か教えて?」

「あの…それは…」

口ごもるなの葉の頬が優しく撫でられ一筋涙が零れた。
それを指で拭われ思わず手が出てつい途中で止まる。
大宮さんはその手を握り自分の口元に持って来ると指先にキスをした。

「俺はこんなに好きなのに、なの葉は触れてもくれないんだな?」

その行為と言葉にボッと火を噴いたように熱くなるなの葉は慌てた。

「ち、違うんです!ほんとは…ほんとは、もっと触れたいしくっつきたいんです!!」

「え?」

目を丸くする大宮さん。
観念したようになの葉は告白した。

「実は…昔、高校の時に付き合ってた彼氏にべたべたくっつくなって言われて…それが原因で別れたことがあったんです…それがあってつい手が止まって…また、べたべた触って嫌われたくないから…」

「……」

やっぱり大宮さん引いてる…。

あの時付き合ってた彼氏は手を繋ぐだけでも渋られて、つい触れたくなる衝動を止めれずにくっつくと離れろ!と怒られた。それが原因で別れたから男の人はべたべたするのが嫌いなんだと思っていた。

握られた手が離れていく。

ああ、嫌われた…そう思ってなの葉は悲しくなって俯いた。

< 72 / 124 >

この作品をシェア

pagetop