隠れイケメンの王子様に恋しました
翌日、まだ誰もいない事務室。
何も言わなくても朋絵にばれた。

「あれ、あれあれあれー?なんか雰囲気違ーう!」

「えっ、な、何がっ!?」

くんくんと匂いを嗅ぐようなしぐさに思わず自分を抱きしめたなの葉にビシッと指をさす朋絵。

「目がキラキラ、お肌つやつや、幸せオーラ全開!そして、ここここ!」

自分の耳のすぐ下あたりを指さす朋絵に、なの葉も自分の耳の下あたりを手で押さえた。

「証拠がバッチリ残ってるよ~~?」

「えっ?」

慌てて手鏡で見てみると耳の下の見えずらい所に真っ赤な花弁が一つ。
これが所謂キスマークだと知ると、なの葉は一つに縛ってた髪を解いて撫でつけた。

「うそー!私知らないで電車乗ってた!」

恥ずかしすぎて穴があったら入りたい!!
真っ赤になるなの葉に朋絵がよしよしと肩を抱く。

「とうとうほんとの大人の女の仲間入りですか―?これからいろいろきわどい話も出来てあたしは嬉しいよ!で、のっぽさんはどうだった?」

ん?ん?と催促してくる朋絵に首を振る。

「そ、そんなこと言えなーーーーいっ!」

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