隠れイケメンの王子様に恋しました
午後、なの葉がお使いから帰ってくると出入り口の横にあるベンチに高岡さんが腰をとんとんと叩きながら座っていた。

「高岡さん、どうしたんですか?」

「いやあ、なの葉ちゃん。お使いかい?いや、なに、ちょっと疲れて休んでただけだよ。年は取るもんじゃないねえ、腰が痛くて」

「大丈夫ですか?無理しないでくださいね?」

なの葉は高岡さんの隣に座って一緒に腰を叩いてあげた。

「ふふっ、ありがとう。なの葉ちゃんは優しいな」

「そんなことないですよ?」

「うん、なの葉ちゃんは優しい。誰にでも分け隔てなくてこんな爺にも優しくしてくれる。大宮が惚れるのも頷けるな」

「えっ!」

ビックリして声を上げたなの葉ににっこり笑いかける高岡さん。

「あいつと付き合ってるんだろ?昨日の大宮は見ものだったと橋本が言っていた」

食堂でのことはほとんどの人が見ていてなの葉と雪都が付き合ってるのは周知の事実だ。
高岡さんが知ってるのも頷けるけど、なんだか照れくさくてなの葉ははにかんだ。

「大宮は女子には人気無いが男には信頼が厚い、いい男だ。お目が高いな、なの葉ちゃんは」

「うふふっ、嬉しいです」

暖かい太陽のもと、ほのぼのと笑い合う二人に和んだ風が優しく吹いた。
  

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