隠れイケメンの王子様に恋しました
……

眠ってしまったなの葉を眺めているともぞもぞとすり寄ってきて自分の胸にぴたりと頬をくっ付け腕が背中に回る。
そんななの葉の肩にキスをして髪を撫でた。

付き合うようになって数ヵ月が過ぎた。

ほんとになの葉は引っ付き虫で一緒にいるときはいつもどこかくっついてないと気が済まないらしい。
いつでも何処でも手を繋ぐのは当たり前、腕にくっついたり背中にくっついたり、頬やおでこをすりすりしてくる。

正直、困った。

可愛すぎて、つい欲情して、キスしたくなって頬を寄せると人目があると顔を真っ赤にして逃げられる。
そんななの葉がまた可愛くて押し倒したくなる自分が抑えられない。

いや、外ではしないけど……。

俺は野獣か!?と自分につっ込みを入れて嘲笑気味に笑った。



なの葉との出会いは入社式。
真新しい事務員の制服に身を包み名を呼ばれ立ち上がったなの葉を初めて見たとき、可愛い子だなと思った。

肩までの柔らかそうなダークブラウンの髪、くりっとした目、卵形のフェイスライン。
緊張気味の一文字に閉められた唇は艶やかで、ピンクのブラウスにグレーのベストとスカートがとても似合ってた。

言うなれば、一目惚れ。

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