隠れイケメンの王子様に恋しました
「あーめんどい…」
欠伸をしながらネクタイを締め髪を上げる。
いつもは楽なぼさぼさ頭だけど本社に行く時だけは身なりをきちんとしろと兄貴が煩いから仕方なく髪の毛をセットする。
工場の皆には俺の正体がばれたくないから用心して眼鏡を外しコンタクトにした。
たったこれだけの事なのに何度かこの格好で工場に行っても誰にもまだばれていない。
大宮=御影とは結びつかないようだ。
それでもなの葉は俺が御影だと気づいてくれた。
何でか聞くと「すぐには気付かなかったけど、いつも見てたから…」って恥ずかしそうに言っていた。
なの葉も俺と同じように俺の姿を見かけては一喜一憂してたんだと知ったときは嬉しかった。
「あ、御影さんバージョン」
俺の作業服にアイロンをかけてたなの葉が俺の姿を見て嬉しそうな顔をする。
昨日はうちになの葉が泊まって土曜の今日、昼から本社に出勤する俺のためにごはんを作り、洗濯までしてくれた。