隠れイケメンの王子様に恋しました
初めてうちに招待した時は広い2LDKのマンションに驚いていた。
ここは母親と住んでた持家。
母が再婚相手と海外に引っ越して行ったから俺が一人残っただけなんだけど、こんな広い家に一人で住んでるなんて凄いとなの葉は一人感動していた。
そして、俺のよれよれの作業服の正体がばれてしまった。

「わっ、洗濯物しわくちゃ。何で整えて干さないの?」

「…俺、洗濯苦手…」

「え?」

干してある洗濯物を見ているなの葉の後ろでぼそりと言うと俺に振り向いて目をまん丸くしてぽかんと口を開けている。

家事全般苦手で母親が居なくなってからは何とか食事だけはまともに作ることが出来るようになったけど、掃除洗濯は未だに慣れない。
なの葉を招待するのに掃除は頑張ったものの、普段必要最低限の事しかしてなくて、それでも洗濯は毎日していた。

「もしかして、アイロンも掛けたことないとか?」

「…」

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