起たたない御曹司君の恋人は魔女
車が走り去った後。
「あ~今日も疲れたなぁ」
「医学部も大変だね」
「まぁね。結沙(ゆいさ)も仕事なれたか? 」
「ああ、なんとかね。営業部って思ったより大変だよ」
2人の男性が話しながら歩いて来た。
2人ともそっくりな顔立ちをしている。
背丈もスラッとしていて推定185センチはありそうなくらい。
爽やかなイケメンタイプで、優しい目をしている。
結沙と呼ばれた男性はかっちりしたスーツ姿。
もう一人はラフなシャツにジーンズ姿。
「ん? 」
結沙と呼ばれた男性は、足元に落ちている携帯電話に気付いて拾った。
「どうしたんだ? 結沙」
「いや、携帯電話が落ちてて・・・」
画面を見ると通話中の表示だった。
「あれ? 通話中じゃん。・・・え??? 」
結沙は交差点を見て、人が倒れているのに気付いた。
「良人(りょうと)! あれ! 人が倒れているぞ! 」
「あ? ・・・わぁ・・・」
携帯電話を耳に当てる結沙。
何も聞こえない・・・だが・・・
チャリンと鈴の音が聞こえた。
「も、もしもし? 」
結沙が声をかけると。
(・・・もし・・・もし? )
ちょっと震えるような女性の声が聞こえた。
「結沙! 大変だ、血まみれだよこの人」
「え? 」
「救急車だ! 」
良人は携帯電話を取り出し、救急車を呼んだ。
(もしもし? なに? どうしたの? お母さんは? )
電話の向こうで女性が叫んだ。
「あ・・・あの・・・倒れている、血まみれで」
(え? どうして? )
「い、今救急車を呼んだから」
(はぁ? どうゆう事? お母さんに何したの? )
「違う! 俺は、通りかかっただけだ。この電話も落ちていたから」
(何言っているの? アンタが殺したんでしょう? )
「何を言い出すんだ、そんなわけないだろう! とにかく、救急車が来るから。病院分かったら、知らせるよ」
(・・・許さないから・・・)
「え? 」
(許さないから、あんたの事! )
「ちょ、ちょっと待て! 落ち着いて」
ビリッと、携帯電話から痺れる痛みが伝わり結沙は携帯電話を落としてしまった。
その弾みで携帯電話がは画面が割れてしまった。
「あ・・・」
ピーポーピーポー・・・
救急車が来た。
結沙と良人は目撃者として救急車に乗り込んだ。
そして警察にも連絡をした。
倒れた女性は病院に運ばれたが、間もなく死亡した。
結沙と良人は警察に目撃した通り話した。
そして拾った携帯電話も渡した。
女性の家族はまだ来ていない。